2026-03-19

文明開化は、ドMの叫びと共に。 ~チ~サ、あさっての党をゆく~

 むかしむかし、幕末から明治へと時代がひっくり返り、江戸の町が「東京」と呼ばれ始めた頃のお話です。

隅田川のほとりに、一風変わった結社がありました。その名も「にっぽんぽん・あさっての党」。わたし、臆病なチ~サは、そこで日々巻き起こる怪奇現象のような政争に、震えながら立ち会っておりました。

その日も、屯所では代表が空のペットボトルを全方位に投げ散らかしていました。

「ワシは癌の手術を2回もしたんやぞ! それなのに早朝から『あさ8(はち)』の瓦版作りに呼び出されて、深夜までマンションで軟禁や。恋すれば何でもない距離やけど、これ身体ボロボロやで! ほんま、ええゆうてるんちゃうで!」

代表の叫びに、横で帳簿を独占するジム総長が、どこか遠くを見つめながら答えました。

「今日はその話ですか? こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね。結果として代表の体がボロボロになることで利しているのは、マッサージ屋じゃないかしら」

「総長! あんた、ワシに猫なで声で近づいてきたクセに、裏ではワシのこと『人脈皆無の金の亡者』って言うてるらしいな! SFやで!」

そこへ、袴の裾を泥だらけにしたパイプユニッシュ様が、長いキセルを振り回して入ってきました。

「党勢拡大は間違いない! 拙者はトランプ大統領の従兄弟の隣人の犬の散歩係とパイプがあるゆえ! 政策で勝負じゃ!」

パイプが詰まっているのは一目瞭然でしたが、誰もそれを指摘しません。すると突然、襖がババーンと開き、ピライ様が顔を出しました。

「うるさい! 静かにしろ!」

言うが早いか、彼は風のように去っていきました。あとに残されたのは、なぜか全力で代表の前に立ちはだかり、飛んできたペットボトルを額で受けるカレーの本質殿。

「ボクは代表を命がけでエクストリーム擁護します! 代表が投げたペットボトルは、実は聖水なんです!」

カオスが極まったその時。庭から「ウキー!」という叫び声と共に、一匹の猿が飛び込んできました。ま猿です。

「ウキー! まきまきの夫は実は宇宙人! デコバカ! デコバカ!」

全てがデマです。しかし、この場に漂う殺伐とした空気を一気に塗り替えたのは、回廊を猛スピードで転がりながら現れた、あの女性でした。

「今日もまきまき! 逆から読んでもまさきまき! もっと叩いて! まきまきのMはドMのMー!」

元職員のまきまき様です。夫が「X(旧・瓦版)」に余計なことを書いたせいでクビになった彼女は、今や情緒が明治維新の状態でした。

「ちょっと聞いてよチ~サちゃん! ジム総長ったら、気に入らない人がいるとすぐ『精神を病んでおられる』って診断書取らせに行かせるのよ! 善意を装って追い詰めるの! 怖くない!? ねえ、もっとまきまきを叩いて!」

「まきまき、うるさいわよ」とジム総長。

「見た! アタシ、あんたが夫の瓦版を自分で代筆してるの見たわ!(実際は見てない)」

「そんなのデマよ! パイプユニッシュの旦那が夫を晒し者にして、私の家庭は崩壊、今は別居中なんだから! 世間じゃ『夫婦は別人格』って言ってくれるのに、この党だけよ『連座制』を適用してくるのは! 専鋭化しすぎてもう、まきまきしちゃう!」

まきまき様は泣きながら、落ちていたペットボトルを自分に叩きつけていました。

わたしは、その光景を眺めながら思いました。

幕末の志士たちは、日本を良くしようと命を懸けましたが、この「あさっての党」の人々は、味方の足を引っ張ることに命を懸けている……。

「ワシら、アンチのなりすまし工作員にハメられたんや!」

代表がそう叫ぶと、ま猿が「ウキー!(その通り!)」と同調します。しかし、私は知っていました。昨日、門の前で石を投げていたのは、間違いなくうちのボランティアスタッフでした。

「……わたし、もう辞めます」

小さな声で呟いたとき、わたしの背筋がピンと伸びました。

この魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界で、ただ怯えているだけのチ~サはもういません。

「代表! 総長! パイプの詰まった侍! そしてドMのまきまき様! 皆さん、あさってと言わず、昨日に帰ってやり直してください!」

わたしは、代表から飛んできた最後のペットボトルを素手でキャッチし、それをゴミ箱へポイと捨てました。

こうして、わたしは「あさっての党」を去り、本当の夜明けを探しに、新しい時代へと歩き出したのです。

背後では、まきまき様が「逆から読んでも、まさきまきー!」と叫ぶ声が、いつまでも空に響いていました。

めでたし、めでたし。

2026-03-14

あさって長屋のてんやわんや

からり、と乾いた風が埃を巻き上げる、文明開化の音がする帝都の片隅。わたし、チ~サは「にっぽんぽん・あさっての党」という名の長屋で、お針子として隅っこに座っている。ここは明日を変えるのではなく、明後日のことを憂う、志の高い(?)人々の集まりだ。

今日も長屋は朝から騒がしい。

「ええか! この長屋の運営には金がかかるんや! 恋すれば何でもない距離やけど、金策となると話は別や!」

代表が、そう叫びながら水入り徳利を放り投げた。危ない。わたしは咄嗟に身をかがめる。徳利は土壁に当たり、べしゃりと音を立てて砕け散った。

「代表!素晴らしい投擲でございます!その軌道、まさに幕府を討つ一閃!」
カレーの本質🍛さんが、瞳を潤ませながら代表をエクストリーム擁護している。

すると、すっとジム総長が代表の横に立った。
「見た!アタシそれ見た!代表が徳利を投げるの、夢で見たわ。こうなること何となく予測してたわね。特には驚かなかったわ」
「ワシは今投げたんや! 夢の話とちゃうわ!」
「今日はその話ですか?」
ジム総長は首を傾げ、天然ボケの真髄を見せつける。この人には何を言っても無駄なのだ。

その時、長屋の外が俄かに騒がしくなった。瓦版売りたちの声が聞こえる。
「号外!号外!元長屋住まいのまきまきが、辻説法で大暴露!」

長屋の面々がざわめき立つ。
まきまきさん……。少し前までここの職員で、選挙にも出たけど落選して、旦那さんの文が原因で追い出された、あの…。

「今日もまきまき!逆から読んでもまさきまき!この長屋が揉めているのはぜーんぶ!ジム総長のせいなのよ!」

外から聞こえる、甲高くて、でもどこか面白い声。わたしは畳のささくれを指でいじりながら、俯いた。

「党勢拡大は間違いない! こんなことで揺らぐ我らではないぞ! 政策で勝負じゃ!」
パイプユニッシュさんが、福井弁で偉そうに叫んだ。けれど、彼の異国の偉い人との繋がり(パイプ)は、もう三ヶ月も詰まったままだと聞いている。

「なんやて!? ワシやのうて、ジム総長のせいやて!?」
代表が目を剥く。

「ええ、そうよ。結果として、まきまきのあの暴露で利しているのは、わたしに嫉妬する薩摩の連中よ」
ジム総長は腕を組んで涼しい顔だ。話が壮大に飛躍した。

「うるさい!静かにしろ!」
突然、障子を蹴破ってピライさんが現れ、怒鳴るだけ怒鳴って風のように去っていった。

「デコバカ!」
間髪入れず、軒先からぶら下がったま猿🐒が叫び、これもまたすぐに姿を消した。

もう、めちゃくちゃだ。

代表は頭を抱えている。
「ワシはただ、楽して儲けたいだけなんや…! ええゆうてるんちゃうで!ちゃうけども!」
「だから、今日はその話ですか?」
「そうじゃ!竹上(たけがみ)の姐御がお茶も汲んでくれへんかった話、今せなあかんのか!?」
「見た!アタシそれ見た!」

ああ、また始まった。堂々巡りの不毛な会話。誰も彼もが自分のことしか話していない。この長屋は、本当に明後日のことなんて考えられるのだろうか。みんなの声が、ぐるぐると頭の中を回る。怖い。でも、それよりも、なんだか、とても悲しい。

わたしは、ずっと黙って、このめちゃくちゃなやり取りを聞いていた。いつもそうだ。怖くて、何も言えない。お針子の手を動かすだけで、存在を消している。

でも。
でも、今日は。

わたしは、震える膝を叱咤して、すっくと立ち上がった。長屋中の視線が、一斉にわたしに突き刺さる。心臓が口から飛び出しそうだ。

「あ、あの……!」

声が、か細く震える。

「お茶なら……わたしが、汲みます……!」

しん、と長屋が静まり返った。
代表も、ジム総長も、カレーの本質🍛さんも、パイプユニッシュさんも、みんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔でわたしを見ている。

やがて、代表がぽつりと言った。
「……おぉ。そうか……。ええゆうてるんちゃうで。…でも、まあ、頼むわ」

ジム総長が、ふ、と微笑む。
「そう。あなたが汲むのね。……結果として、あなたがお茶を汲むことで利しているのは、この場の空気ね」

何も、解決なんてしていない。
外ではまだ、まきまきさんの辻説法が続いている。

けれど、わたしは自分の意思で、初めてこの騒乱の中で声を上げた。湯呑みを手に取り、台所へ向かう。小さな、本当に小さな一歩。

わたしの戦いは、熱いお茶と共に、今、始まったのかもしれない。

昔話『青雷(ぶるーさんだー)と嘘つきジム総長』

昔話『青雷(ぶるーさんだー)と嘘つきジム総長』

わたし、チ~サと申します。
ここ、文明開化の音がする帝都の片隅にある長屋が、わたしたち「にっぽんぽん・あさっての党」の屯所です。今日もわたしは、目の前の光景にただただ震えていました。

「ひぃっ…!また高くなって…」

ジム総長が積み上げた「重要書類」なる反故紙の山が、天井に届かんばかりにそびえ立っているのです。あれはもはや建築物。物理法則を完全に無視した、奇跡の塔ですわ。

「チ~サ、何を震えとんねん。恋すれば何でもない距離やけど、お前と反故紙の山はそういう関係ちゃうやろ」

代表が、なぜか縁側で干していた一升瓶をクルクル回しながら言いました。お金のこと以外はあまり興味がないお方です。

「代表…あれ、いつか崩れます…」
「ええゆうてるんちゃうで。SFやで」

代表の言葉は、いつも壮大なようで中身がありません。
その時でした。
「どどどどどど!!!」
嵐のような足音と共に、屯所の障子が木っ端微塵に吹き飛びました。

「今日もまきまき!逆から読んでもまさきまき!」

そこに立っていたのは、先日クビになったはずの、まきまきさん!その瞳は潤み、口元は笑い、足は奇妙なステップを踏んでいます。情緒が迷子ですわ。

「ジム総長!まきまきは許さない!あのカラクリ駕籠『青雷号』の代金五百両、まだ払ってないでしょ!まきまきが立て替えるって言ったのに!」
まきまきさんの絶叫に、ジム総長は反故紙の山からひょっこり顔を出しました。
「あら、今日はその話ですか?見た!アタシそれ見た!未来の瓦版で!」

見てません。絶対に見てません。

「それに書類はこうやって横に積むのが一番効率的なのよ!仕事ができる女の常識!」
ジム総長はそう言って、一番下の紙を引っこ抜きました。もちろん、塔はぐらりともしません。不思議です。

「嘘つき!コミュニケーションが取れなくなったって嘘ついたのも知ってるんだから!まきまきが話してるのは、まだ全体の1割なんだから!」
「こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね」

ジム総長、強すぎます。
すると代表が立ち上がり、わたしに向かって一升瓶を投げつけました。ゴツン!痛い!なぜわたしに!

「ワシが抑えとるから1割で済んどるんや!ワシがおらなんだら、まきまきは9割増しで暴れとる!わかるかこの意味!SFやで!」
「は、はぁ…」
「その通りでございます、代表!なんと慈悲深い!代表のエクストリーム擁護こそ我が命!」
カレーの本質🍛さんが、どこからともなく現れ、号泣しながら五体投地しています。

「党勢拡大は間違いない!政策で勝負じゃ!」
パイプユニッシュさんが、めりけん国から届いたという、どう見ても便所の詰まりを直す道具を振り回しながら叫びます。パイプ、詰まってますよね?

その時!
「うるさい!静かにしろ!」
ピライさんが怒鳴り込み、そして風のように去っていきました。
間髪入れず、
「デコバカ!」
今度はま猿🐒さんが現れ、ジム総長のおでこを指さして去っていきました。
カオスです。ここは地獄でしょうか。

わたしは今まで、このおかしな人々の間で、ただ小さくなっているだけでした。でも、必死に何かを訴えるまきまきさんの姿を見て、胸の奥で何かが変わっていくのを感じました。

この党、本当に大丈夫なのだろうか…?
いや、大丈夫じゃない。絶対に。

でも、臆病なわたしに、一体何ができるというのでしょう…。

「ジム総長派による言論弾圧だわ!」
まきまきさんは突然叫ぶと、満足したようにニッコリ笑い、
「今日もまきまき!逆から読んでもまさきまき!」
と決めポーズをして、吹き飛んだ障子の向こうへ消えていきました。

嵐が去った屯所に、ジム総長の反故紙の塔と、わたしだけが残されました。
わたしは、代表に投げつけられてできたこぶをさすりながら、固く、固く決意したのでした。

わたし…この「にっぽんぽん・あさっての党」で、何かを成し遂げなくちゃ。
まずは、あの反故紙の山を、どうにかすることから始めよう、と。
わたしの戦いは、今、始まったばかりなのです。

文明開化は、ドMの叫びと共に。 ~チ~サ、あさっての党をゆく~

  むかしむかし、幕末から明治へと時代がひっくり返り、江戸の町が「東京」と呼ばれ始めた頃のお話です。 隅田川のほとりに、一風変わった結社がありました。その名も「にっぽんぽん・あさっての党」。わたし、臆病なチ~サは、そこで日々巻き起こる怪奇現象のような政争に、震えながら立ち会ってお...