#### 背景
2024年8月19日、NHKのラジオ国際放送で、中国籍の外部スタッフが生放送中に沖縄県・尖閣諸島を「中国の領土」と発言しました。この発言は、靖国神社での落書き事件に関するニュースを読み上げた後に行われ、さらに英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」とも述べました。この発言は、NHKの国際番組基準に抵触し、放送法で定められた責務を果たせなかったとされています。
#### 総務省の対応
総務省は2024年9月11日、この発言が「国際放送を担う公共放送としての使命に反する」として、NHKに対して行政指導を行いました。放送法に抵触すると判断し、再発防止策の徹底を求めました。行政指導は強制力はありませんが、無視すると信頼性の低下や法的措置の可能性があるため、NHKにとっては重要な指摘です。
#### NHKの対応
NHKは9月10日に記者会見を開き、稲葉延雄会長らが担当理事の引責辞任と会長らの報酬の一部返納を発表しました。再発防止策として、中国語ニュースを事前収録に切り替えることを決定しました。また、NHKは「放送法で定められた責務を果たせなかった」として深くお詫びし、国際放送に関するガバナンスの強化、放送の自主自律の堅持とリスク意識の向上、説明責任の果たしを約束しました。
#### 過去の事例
総務省は過去にも、NHKに対して行政指導を行っています。例えば、令和4年にはBS番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」で誤った字幕を付けた問題がありました。このような事例は、公共放送としての信頼性と中立性が問われる重要な事案です。
#### 尖閣諸島周辺の中国船問題
2024年9月11日、尖閣諸島（沖縄県石垣市）周辺の接続水域で、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。これで中国当局の船が尖閣周辺で確認されるのは46日連続となります。第11管区海上保安本部（那覇）によると、4隻とも機関砲のようなものを搭載しており、領海に近づかないよう巡視船が警告しました¹²。
#### 結論
今回のNHKの尖閣発言問題と中国船の尖閣周辺航行問題は、公共放送としての信頼性と中立性、そして国家の主権に関わる重大な事案です。総務省の行政指導を受け、NHKは再発防止策を徹底し、視聴者の信頼を取り戻すための努力を続ける必要があります。また、尖閣諸島周辺の中国船問題についても、国際法に基づいた厳正な対応が求められます。
