金もうけの芝居
この村には、一風変わった集団がいた。村人は彼らを「保守党衆」と呼び、遠巻きに見つめていた。誰もが彼らの言動に戸惑い、そして、時に笑い、時に困惑し、また時に怒るのだった。
ある日、保守党衆のひとり、パイプユニッシュが広場に立ち、村人たちに向かって演説を始めた。彼は、さも重大な話をするかのように、腕を組み、ゆっくりと頷きながら、静かに口を開いた。
「拙者は知っておる!代表は金もうけの芝居をしておらん!」
村人たちは顔を見合わせた。「芝居」とは何のことだろう?それは誰が言ったのだろう?代表の言葉にはそんなものはなかったはずだ。
そのとき、小柄な女性、ちさが手を挙げた。彼女は保守党衆の一員ではあったが、まだ戸惑いながら、この世界を学んでいる最中だった。
「えっと…パイプユニッシュさん、それ、『芝居』って、付け足しましたよね?」
パイプユニッシュはピクリと肩を震わせた。そして、口の中で何かをもごもごと噛みつぶすようにして、眉をひそめた。
「し、芝居!?いや、ち、違うでござる!これは…その…つまり…拙者の政策で勝負じゃ!」
「政策と何の関係があるんですか?」ちさは思わず問い返す。しかし、パイプユニッシュはもう別の話をしようとし始めていた。
そこへ、金色の扇子を振りながら、代表が登場した。彼は大股で歩きながら、大きな声でこう言った。
「ワシはなぁ、金もうけのためにYouTubeやっとるんちゃうで!そんなん、ええゆうてるんちゃうで!」
「知ってる、アタシそれ知ってる!」
声を上げたのは、保守党衆の事務総長だった。彼女は大きく頷きながら、満面の笑みを浮かべていた。
「代表はね、お金が好きなんじゃなくて、お金が大好きなんですよ!」
「えっ…それ、ほとんど一緒じゃないですか…?」ちさはまた戸惑う。しかし、誰も気にしていないようだった。
そこで、端の方にいたカレーの本質🍛が、感動したように目を潤ませながら言った。
「代表はボクたちのために配信してくれたんです!それに投げ銭が入るのは当然のことでしょう!」
「お母様が亡くなった日に…?」ちさは思わず聞き返す。
代表は扇子をパタパタしながら、悠然とした態度で答えた。
「それはな、恋すれば何でもない距離やけど、YouTubeは配信すれば何でもない仕事やからや!SFやで!」
すると、遠くからま猿🐒が飛び跳ねながら近づいてきた。甲高い笑い声が響く。
「ギャハハハ!投げ銭はな、会費と違う!これは代表の愛の形なんだべさ!」
ちさは、目を見開いて震えた。
「ど、どんな理論なんですか…?」
ま猿🐒はなおも調子に乗る。
「批判する奴は全員ダニだべさ!ギャハハハハ!」
そのときだった。突如、鋭い声が響いた。
「うるさい!静かにしろ!」
それは、いつも苛立っているピライだった。彼は眉間にしわを寄せ、苛立たしげに声を荒げる。
「なんなんだこの会話は!?まったく論理的じゃない!!」
ちさは、ピライの怒声を聞いて、少しホッとした気がした。しかし、それも束の間だった。
そこに、コトエが姿を現した。目を細め、じっとちさを見つめる。
「ふむ…代表が金もうけをしていないなら、問題ない。だが批判した者どもは、存在そのものが名誉毀損じゃ!」
ちさは言葉を失った。ここでは、何を言っても無駄なのかもしれない。何が正しくて、何が間違っているのか、それすらも曖昧になっていた。
代表は、金色の扇子をゆったりと仰ぎながら、こう言った。
「まぁまぁ、ワシは金もうけしとらん!でもお金は大好き!そのバランスが大事やねん!な?SFやで!」
ちさは、村の空を見上げた。遠くの山の向こうには、答えのない問いが、今もなお浮かんでいるようだった。
余韻
批判することは許されないのか。事実を述べることさえも、誰かを怒らせるのか。
ちさは、この村の風景を眺めながら、ふと自問した。
このまま、流れに身を任せていくべきなのか。それとも、何かを変えようとするべきなのか。
ただ一つだけ確かなのは、誰かが「ダニ」と呼ばれることで、真実が見えなくなってしまうのなら——それは、あまりにも空しい、ということだった。
(おしまい)
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