2026-03-12

幕末狂騒録 にっぽんぽん・あさっての党 〜チ〜サのツッコミ開眼と空飛ぶペットボトル〜

 幕末から明治へと時代が移り変わる、混沌と熱気の入り混じる帝都・東京。

新橋界隈に屯所を構える「にっぽんぽん・あさっての党」は、今日も狂気の沙汰に包まれていた。

「ヒィィ……おそろしい……おうちに帰りたい……」

薄暗い部屋の隅で、ホコリと同化するように膝を抱えて震えるのは、平隊士のわたし、チ~サだ。臆病でおとなしいわたしにとって、この党はあまりにも刺激が強すぎる。

シュルルルルッ! ドンッ!
目の前を、南蛮渡来の奇妙な水筒「ペットボトル」が猛スピードで横切り、障子をぶち破った。

「ええゆうてるんちゃうで!」

投げたのは、我が党の代表だ。畳の上に胡坐をかき、両手にはがま口財布を握りしめ、チャリンチャリンと卑怯な手つきで小判を数えている。

「竹田はんの御屋敷に謝罪文の飛脚送らなあかんやんけ! ワシの銭が減るわ! 恋すれば何でもない距離やけど、謝罪の手間は遠いわ! ほんまSFやで!」
「あああ! ボクは代表のお投げになったペットボトルの放物線こそが、大日本帝国を救う唯一の美しき軌道だと、命がけでエクストリーム擁護します!!」

代表の足元で、涙を流しながら五体投地しているのは、謎の隊士・カレーの本質🍛だ。怖い。

事の発端は、元職員の「まきまき」が撒き散らした瓦版(ライブ配信)での大暴露祭りだった。
彼女は大坂の選挙で落選し、夫の「飛脚文(Xポスト)」が原因で党をクビになったという、濃すぎる経歴の持ち主である。

バーン! と屯所のふすまが木っ端微塵に吹き飛び、御本人が乱入してきた。

「今日もまきまき!逆から読んでもまさきまき! まきまき!」

完全に情緒が迷子になっている笑顔で、まきまきが叫ぶ。
「ちょっとアンタたち! まきまきの家族や寺子屋、はては奉行所まで、計二十一箇所にも嫌がらせの飛脚が届きまくってるのよ! 業務妨害もいいとこよ、まきまき!」

それを聞いて、優雅にビードロの杯を傾けていたジム総長が、ふっと鼻で笑った。

「今日はその話ですか? 見た!アタシそれ見た! 飛脚が二十一人連なって走っていくのアタシ見たわ!」

絶対見ていない。この人は息を吐くように嘘をつく天然ボケだ。

「まきまき! ジム総長、前言ってたじゃない! 『瓦版での集団吊るし上げ(ネットリンチ)は匿名だから自己責任だし、むしろ党が助かってる部分がある』って! まきまき!」
「こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね」

総長は涼しい顔でうそぶき、すまし顔で話をすり替えた。
「結果として、まきまきの行動で利しているのは……そうね、薩摩藩よ」

話がまったく通じていない。

「ウキーッ!! 竹田殿は最初から怒ってないウキ! まきまきの自作自演ウキ! デコバカ!」

突然、天井裏からま猿🐒が落下してきて、100%のデマだけを叫ぶと、再び天井裏へ消えていった。

「うるさい!静かにしろ!」

今度はふすまが勢いよく開き、ピライが顔を真っ赤にして怒鳴り込んできて、0.2秒でふすまを閉めて去っていった。
なんなの、この屯所。全員の情緒が限界を突破している。

そこへ、ドカドカと足音を立ててパイプユニッシュが入ってきた。

「拙者に任せるんやざ! 異国のとらんぷ大統領と太いパイプがある拙者がいれば、党勢拡大は間違いないんやざ! 政策で勝負じゃ!」

「あの、先輩……そのパイプ、完全に泥で詰まって逆流してますけど……」
わたしが小声で指摘するが、彼は自信満々にふんぞり返るばかりだ。

そもそも竹田殿への無礼討ち騒動も酷かった。
代表が渋々長文の弁明を送ったのに対し、ジム総長に至っては「お手間取らせてごめんあそばせ」程度のたった二行の文を送っただけだ。
竹田殿は「熱い思いゆえと理解しております」と極上の皮肉で返して牽制してきたのに、この人たちは「やった! 許されたわ!」と本気で喜んでいるのだから、救いようがない。

(あああ……もう、こんな狂った党にはいられない。わたしは……わたしは!)

今まで隅っこで震えていたわたしの内側で、何かがプツンと弾けた。
立ち上がり、大きく息を吸い込む。

「代表! 金勘定ばかりして卑怯です! ジム総長! 息をするように嘘をつかないでください! カレーの本質さん! もっと自分の人生を生きて! パイプさん! 詰まりを直してから出直して! そして、まきまきさん! 逆から読んだら『きまきさま』で意味不明です!!」

屯所が、水を打ったように静まり返った。

「お、おどれ、平隊士の分際で……ワシに意見するんか!」代表が震える手で新たなペットボトルを構える。

「あら、チ~サがキレること、こうなること何となく予測してたわ」とジム総長。
「結果として、わたしのこのツッコミで利しているのは、この狂った党の喜劇的な面白さです!!」

わたしは満面の笑みで言い放った。
幕末の闇夜に、わたしの高笑いとペットボトルの砕ける音が響き渡る。
政治という名の果てしないギャグは、まだまだ幕を下ろさないらしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿