文明開化の足音が聞こえ始めた東京の片隅で、わたし、チ~サは今日も「にっぽんぽん・あさっての党」の屯所の隅っこで、ガタガタと震えていた。
臆病でおとなしいわたしには、この党の空気はあまりにも過激すぎるのだ。
ドンッ!
突然、屯所の障子が派手に吹き飛び、一人の女が転がり込んできた。
「今日もまきまき!逆から読んでもまさきまき!」
かなり情緒不安定な元党員の、まきまきだ。
彼女は先の選挙で公認候補者として出馬し落選、その後、夫が瓦版の「飛脚ポスト(通称・Xポスト)」で不用意な発言をしたせいで、理不尽にも党をクビにされた悲劇の女性である。
「ちょっと! あんたら、まきまき!の長屋の番地を晒した上に、お奉行所に『育児放棄だ』って虚偽の訴えを出したわね! あたしの旦那まで飛脚問屋をクビになったじゃないの!」
彼女の悲痛な叫びに対し、代表が懐から南蛮渡来の謎の筒「ペットボトル」を取り出し、まきまきの顔面めがけて全力で投げつけた。
「ええゆうてるんちゃうで! ワシはお金が大好きなんや! お布施を払わん奴の面倒は見ん! 恋すれば何でもない距離やけど、それは匿名の信者が勝手にやっとるネットリンチや!」
明らかな犬笛で信者を煽動しておきながら、この男はどこまでも卑怯者である。
そこへ、ジム総長が優雅に「糸電話(カンカン電話)」を片手に現れた。
「今日はその話ですか? 見た!アタシそれ見た!(実際は見てない)」
「嘘ばっかり! あんた、異人の受け入れ上限がないってデマを流して民草の恐怖を煽ったじゃない! そのくせ遅刻無双で、糸電話で人の話を遮ってばっかり!」
まきまきが食ってかかるが、ジム総長は天然ボケなのか虚言癖なのか、涼しい顔だ。
「こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね。結果としてまきまきの行動で利しているのは、旧幕府軍よ」
突如、天井裏からま猿🐒が乱入してきた。
「ウキー! 異人は明日100万人攻めてきて、江戸中のバナナを食い尽くすウキ! デコバカ!」
息を吐くようにデマだけを叫び、ま猿は一瞬で窓から立ち去った。
「うるさい!静かにしろ!」
部屋の隅でずっと茶を飲んでいたピライが突如ブチギレて怒鳴り、彼もまた、風のように屯所を出て行った。会話のドッジボールすら成立していない。
「ボクは代表を支持する!」
カレーの本質🍛が、代表の足元に猛烈なスライディング土下座を決めた。
「代表がペットボトルを投げたのは、まきまきさんに南蛮の最先端技術を教えるための愛の鞭なんだ! ボクは命がけで代表を守る!」
あまりのエクストリーム擁護に、わたしはめまいを覚えた。
さらに、奥の襖がスパーンと開き、パイプユニッシュが偉そうに胸を張って現れた。
「拙者、メリケンの『とらんぷ』と太いパイプがあるでの! 党勢拡大は間違いない! 政策で勝負じゃ!」
だが、彼の背後には見事に詰まりきった泥だらけの竹パイプが虚しく転がっている。
「もうやだ! あたしは犬笛で煽られた信者たちに実生活まで破壊されてるのよ! 独裁と粛清ばっかりで、あんたたち人間力ゼロじゃない!」
まきまきが泣き叫び、代表が「SFやで!」と叫びながら二本目のペットボトルを投擲し、ジム総長が糸電話に向かって「アタシそれ見た!」と連呼する。
カオス。完全なる地獄絵図。
今までわたしは、怖いから黙って従っていた。
権力にすり寄り、気に入らない者を理不尽に粛清し、デマを流しては仲間を売る。これが新時代の「保守」の姿だというのか?
いや、違う。
この瞬間、わたしの内なる「何か」が弾けた。
「……いい加減にしなさいよぉぉぉッ!!」
わたしの絶叫に、狂乱の屯所の空気がピタリと止まった。
「ペットボトルは人に投げるな! デマと犬笛で人の生活を壊すなんて、イエスマンだけのカルト結社じゃない! わたし、こんな党、もう辞めてやるわ!」
わたしは、床に座り込むまきまきの手を力強く握りしめた。
「まきまきさん、行きましょう! わたしたちの『あさって』は、こんな掃き溜めにはないわ!」
「チ~サ……! うん、今日もまきまき! 逆から読んでもまさきまき!」
こうしてわたしは、狂気の党から脱退した。
外に出ると、文明開化の青空がどこまでも高く澄み渡っていた。
わたしの足取りは、かつてなく軽い。
彼らの狂気は、やがて歴史の闇に消えるのだろうか。それとも、人間の業として形を変え繰り返されるのだろうか。
だが、少なくともわたしが自らの意志で踏み出したこの一歩は、確かに新しい未来へと続いているのだ。
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