2026-03-09

幕末デマ瓦版『にっぽんぽん・あさっての党』大騒動!〜ペリー来航はワシの生誕祭!?飛び交う嘘とペットボトルを華麗に避けて、わたしはメディアリテラシーの夜明けを知る〜

 時は幕末から明治初期へと移り変わる帝都・東京。

ちょんまげと散切り頭が交差する喧騒の片隅で、わたし、チ~サは今日もガタガタと震えていた。

わたしが身を寄せているのは、新時代の瓦版屋『にっぽんぽん・あさっての党』。
臆病でおとなしいわたしには、この党の熱気は少々、いや、かなり胃に重い。

「ペリーが浦賀に来たのは、ワシが生まれた年や! そして名もなき漁師がスゴイ平頭の銛を発明して、キューバとかいう南蛮の危機も全部ワシの生誕祭や! 既存の御用瓦版は全部財務省の手先やで! SFやで!」

ドゴォン!
代表が、この時代にあるはずのない透明な筒……そう、ペットボトルを壁に投げつけながら叫んだ。
お金が大好きで卑怯な代表だが、口から飛び出す歴史は常に時空が歪んでいる。

「今日はその話ですか?」

すかさず相槌を打つのは、ジム総長。
天然ボケにして虚言の達人である彼女は、扇子を優雅に広げて言い放つ。

「見た! アタシそれ見た! ペリーの黒船のへさきで、代表が産湯を使ってるの絶対見た! ちなみに消費税的なものは全部ゼロにするわよ! 財源? そんなの打ち出の小槌よ!」

いや、見てないですよね? そもそも年代がむちゃくちゃだし、無責任な大衆迎合(ポピュリズム)が過ぎます。
心の中で突っ込むわたしの横を、ちょんまげ姿の男が勢いよく通り抜けた。

「メリケンのトランプ大統領と拙者のパイプは太い! 外国からの学生ビザも停止じゃ! 党勢拡大は間違いない! 政策で勝負じゃ!」

パイプユニッシュさんだ。
福井弁の訛りも勇ましく偉そうに語るが、そのパイプ、完全にススで詰まっている。そもそもトランプ大統領って誰ですか。幕末にいませんよ。

すると突然、毛むくじゃらの影が障子を突き破って飛び込んできた。

「ウキー! スリランカの南蛮人は全員モスクを建てるんや! 江戸の公団長屋は全部スラム化して乗っ取られるぞ! ワシが言うんやから間違いない! デコバカ!」

ま猿だ。デマの達人である彼は、排外主義的で差別的なデマを撒き散らすと、嵐のように去っていった。
その後ろから、エプロン姿の青年が目を血走らせて飛び出してくる。

「ボクは代表を信じます! 代表の歴史的年号の間違いや排外主義は、実は新政府軍を欺くための高度な暗号なんです! 命がけで代表をエクストリーム擁護します!」

カレーの本質さんだ。彼の擁護はもはや宗教の域に達している。
あまりのカオスにわたしが頭を抱えていると、ふすまがピシャアッ!と開き、険しい顔の男が顔を出した。

「うるさい! 静かにしろ!」

ピライさんだ。彼は一喝するや否や、一秒で立ち去った。本当に何をしに来たの。

「まきまきー! 逆から読んでもまさきまき!」

さらには、情緒不安定な元職員のまきまきさんまで乱入してきた。
「旦那の文(ふみ)のせいでクビになったけど、まきまきの心は自由よぉぉ!」
踊り狂う彼女を見て、ジム総長が冷ややかに呟く。

「こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね。結果としてまきまきの行動で利しているのは薩長ね」

もう、めちゃくちゃだ。
彼らが刷り上げている瓦版には、『他党は嘘つき! ワシらだけが真実!』と書かれている。しかし彼ら自身の行いと言えば、「確認団体」という脱法的な抜け道でビラを撒いて言い逃れをする始末。
中身はダブルスタンダードとデマのフルコース。
このままでは、江戸の街が排外主義と扇動の渦に飲まれてしまう。

いつもなら部屋の隅で震えているだけのわたし。
でも、今日だけは……今日だけは言わなきゃ!

「あ、あのっ!」

わたしは、思い切り声を張り上げた。

「代表の生まれた年、幕末でもキューバ危機でもありません! それに、平頭銛を発明したのは漁師じゃなくて学者さんです! 瓦版の内容、全部適当なデマじゃないですか……っ!」

しん、と部屋が静まり返る。
言ってしまった。殺されるかもしれない。
代表が、ゆっくりとこちらを向いた。そして、手元のペットボトルをふりかぶる。

「ええゆうてるんちゃうで! 恋すれば何でもない距離やけど!」

ヒュオンッ!
猛スピードで飛んできたペットボトルを、わたしは……スッと、紙一重で避けた。

「……え?」

代表が目を丸くする。わたし自身も驚いた。
いつもなら縮み上がって当たっていたはずなのに。

「……SFやで」

代表の呟きを背に、わたしは深く息を吐いた。
この瓦版屋のデマと扇動は、これからも続くだろう。この国はまだまだ情報に惑わされやすい。
でも、わたしはもう、飛んでくるペットボトル(とデマ)を避ける術を覚えたのだ。メディア・リテラシーという名の、確かな盾を胸に。

文明開化していく明治の空は、果てしなく青く、そして少しだけ笑えた。

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