2026-03-08

【幕末狂騒曲】あさっての方向へ全力疾走!〜ホログラム無給志士の乱〜

時は明治初期の東京。

ガス灯の明かりが文明開化を告げる街の片隅に、その屯所(とんしょ)はあった。「にっぽんぽん・あさっての党」である。

わたし、チ~サは、今日も部屋の隅でガタガタと震えていた。
おとなしくて臆病なわたしには、この党の空気は刺激が強すぎるのだ。

「ヒヒヒ、今日も銭が貯まる貯まる……ええゆうてるんちゃうで! ワシの才能はSFやで!」
上座で南蛮渡来の透明な筒――「ペットボトル」なるものを弄びながら笑うのは、党の代表だ。

「今日はその話ですか?」
隣で優雅に扇子を扇ぐのは、女帝ことジム総長。
「アタシ、この党が天下を取る姿、見た! アタシそれ見た! ま、こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね」
(※彼女は絶対に見ていないし、昨日まで全く違うことを言っていた)

その時、屯所のふすまが「バーン!」と勢いよく開き、奇抜なザンギリ頭の女が転がり込んできた。
「逆から読んでもまさきまき!」

元党員の、まきまきだ。かつては参議院議員候補にまでなったが、旦那の瓦版(Xポスト)への書き込みが原因でクビになったという、情緒不安定すぎる御仁である。

「聞いてよチ~サ! まきまき、時給三百文以下の無給奉公で一日十四時間も働かされたの! なのにジム総長ったら『まきまきの方から給金はいらないって泣いて頼んできた』なんて大ウソの瓦版を撒き散らしたのよ! 私の姿は幻燈機(ホログラム)か何かに見えていたっていうの!?」

まきまきは涙と笑いを交互に浮かべながら、凄まじいテンションでまくしたてる。
彼女の告発によれば、ジム総長は党の凱旋パレードを独り占めするため、美形で有能な志士を片っ端から「お断り」しているらしい。代表が南蛮の絵草紙屋(アベマTV)に呼ばれても、そこに若い娘がいるとわかれば全力で出演を阻止し、代表を屯所に幽閉しているというのだ。

「おまけに党の『ホハヒー!』って叫ぶ親衛隊たちに、旦那の飛脚の仕事先から、子供の寺子屋にまで『あいつの夫は異国・北朝鮮の工作員だ!』って怪文書を送られたのよ! まきまき一家、見事な明治の村八分よ! まきまき!」

あまりの悲惨さにわたしが言葉を失っていると、代表が突如、わたしに向かってペットボトルを力いっぱい投げつけてきた。

「痛っ!」
「ワシは知らん! 恋すれば何でもない距離やけどな!」
意味がわからない。どうやら彼なりの照れ隠しらしいが、卑怯者の極みである。

すかさず、部屋の隅からカレーの本質🍛が飛んできた。
「ボクは命懸けで代表を擁護する! 代表は囚われの天才ベストセラー戯作者なんだ! 悪いのは全部、周りの環境だ!」

するとジム総長が鼻で笑った。
「まきまき、結果としてあなたの行動で利しているのは、敵対するリベラル藩よ」

「拙者に任せておけ!」
福井訛りの男、パイプユニッシュが唐突に立ち上がった。
「メリケンのトランプ大統領ともパイプがあるこの拙者がおる限り、党勢拡大は間違いない! 政策で勝負じゃ!」
しかし、彼の誇らしげに握りしめている竹のパイプは、どう見ても泥で完全に詰まっていた。

「ウキー! まきまきは異人の手先ウキ! デコバカ!」
ま猿🐒がデマだけを撒き散らして、木の上に去っていく。

「うるさい! 静かにしろ!」
ピライがふすまを開けて怒鳴り込んできたかと思うと、そのまま一歩も中に入らずにドスドスと去っていった。

「まきまき! もうこんな党、知ーらない! 逆から読んでもまさきまき!」
まきまきは嵐のように叫ぶと、再び夜の街へと駆け去っていった。

静寂が戻った屯所。
「ひどい……いくらなんでも、まきまきさんが可哀想……」
わたしは震える手で、代表が投げ捨てたペットボトルを見つめた。
政治とは、愛国心とは、一体何なのだろうか。

「ワシの書く物語はSFやで!」
代表が再び、新しいペットボトルをわたしに向けて投げつけてくる。

しかし、その瞬間、わたしの中の何かが弾けた。

パシッ!

わたしは飛んできたペットボトルを、空中で華麗に見切ってキャッチした。
「……チ、チ~サ?」
代表が目を丸くする。

「わたし、もう少し強く生きます」

こんな魑魅魍魎たちの巣窟で生き残るには、ただ怯えているわけにはいかない。わたしはペットボトルの蓋を開け、中の水を一気に飲み干した。

遠くで、文明開化の音がする。
わたしが飲み干したのは、狂気という名の新しい時代の水だったのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

幕末デマ瓦版『にっぽんぽん・あさっての党』大騒動!〜ペリー来航はワシの生誕祭!?飛び交う嘘とペットボトルを華麗に避けて、わたしはメディアリテラシーの夜明けを知る〜

 時は幕末から明治初期へと移り変わる帝都・東京。 ちょんまげと散切り頭が交差する喧騒の片隅で、わたし、チ~サは今日もガタガタと震えていた。 わたしが身を寄せているのは、新時代の瓦版屋『にっぽんぽん・あさっての党』。 臆病でおとなしいわたしには、この党の熱気は少々、いや、かなり胃に...