第一幕:混沌の屯所
時は幕末から明治初期へと移り変わる喧騒の東京。
わたし、チ~サは、ひょんなことから「にっぽんぽん・あさっての党」という、とんでもなく胡散臭い政治結社の屯所に身を置いていた。わたしは生まれつき臆病でおとなしい性格ゆえ、日々飛び交う怒号に部屋の隅で震えることしかできない。
「恋すれば何でもない距離やけど!」
ドゴォン!
突然、ワシと名乗る関西弁の【代表】が、よくわからないロマンチックなポエムを叫びながら、わたしに向かって空のペットボトルを全力で投げつけてきた
「ひぃっ!」
「ええゆうてるんちゃうで!ワシは金が大好きなんや!」
理不尽すぎる。なぜペットボトルを投げるのか。
「今日はその話ですか?」
すかさず口を挟んできたのは、【ジム総長】だ。
「見た!アタシそれ見た!代表がペットボトルを投げるの、黒船が来る前から見てたわ!」
絶対に嘘だ。彼女は常に天然ボケを装いながら平然と虚言を吐く。
そこへ、やたらと偉そうな男、【パイプユニッシュ】が福井弁でふんぞり返りながら入ってきた。
「拙者、異国のトランプ政権と極太のパイプがあるゆえ、党勢拡大は間違いない!政策で勝負じゃ!」
しかし、彼の咥えている煙管(パイプ)はヤニで完全に詰まっており、煙一つ出ていない。
「うるさい!静かにしろ!」
ふすまをバンッと開けて【ピライ】が怒鳴り込んできたかと思うと、一瞬でピシャッとふすまを閉めて立ち去った。何をしに来たんだ。
「ウキー!デコバカ!」
今度は縁側から【ま猿】がデマだけを撒き散らして、木の上へと逃げていく
「ボクは代表のペットボトル投げを支持します!あれは地球の自転を促す神聖な儀式なのです!」
【カレーの本質】が涙ながらに代表をエクストリーム擁護し始めた。もう、この屯所は狂人しかいない。わたしは明日こそ国許へ逃げ帰ろうと決意した。
第二幕:まきまきの逆襲と暴露
その時である。
バーン!と屯所の板戸が蹴破られ、一人の女が鬼の形相で立っていた。
「逆から読んでもまさきまき!まきまきだよ!」
かつてこの党の職員であり、さらには公認候補者として出馬したものの落選し、あろうことか「夫の飛脚の誤配(Xポスト)」という理不尽な理由でクビにされた女、【まきまき】である
「よくもわたしの子供が通う寺子屋に、連日連夜、嫌がらせの矢文を送ってくれたわね!おかげで引っ越し寸前よ!でもね、首謀者たちからは数百万両の示談金をきっちりむしり取ってやったわ!
彼女の執念と示談金の額に、屯所の空気が凍りつく。しかし、まきまきの怒りは収まらない。彼女は代表とジム総長を鋭く睨みつけた。
「あんたたち!クビにした藩士の分の『幕府からの御手当(助成金)』を、受理を遅らせてちゃっかり懐に入れてるんじゃないわよ!身を切る改革とか言って、お金に汚すぎでしょ!
痛いところを突かれた代表は、顔を真っ赤にして叫んだ。
「ええゆうてるんちゃうで!そんなんSFやで!」
シュルルル!と代表が放った三本目のペットボトルを、まきまきは持っていた扇子で見事に打ち返した。
ジム総長は涼しい顔で扇子を扇ぎながら呟いた。
「こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね。結果としてまきまきの行動で利しているのは、敵対する薩長よ!」
見事なまでの責任転嫁と天然の嘘である。
第三幕:チ~サの覚醒と波乱の幕引き
「ボ、ボクの命に代えても代表の懐の公金はお守りする!」
カレーの本質がまきまきに飛びかかろうとするが、まきまきは「逆から読んでもまさきまき!」と叫びながら、彼を一本背負いで庭先の池へと投げ飛ばした。
「うるさい!静かにしろ!」
またピライが怒鳴って去っていく。
「ウキー!デコバカ!」
ま猿が柿の種を投げてくる。
わたしは、部屋の隅でガタガタと震えていた。
怖い。政治の世界は怖い。夫の飛脚ミスでクビにされ、寺子屋に嫌がらせを受け、示談金で大立ち回りを演じるまきまきの狂気
しかし、まきまきの背中を見ているうちに、わたしの胸の奥で何かが弾けた。
(わたし……いつまでもこんなおかしな連中に怯えてちゃダメだ!)
わたしは立ち上がり、思い切り息を吸い込んで叫んだ。
「みんな、いい加減にするであります!パイプは詰まってるし、ペットボトルはゴミ箱に捨てるべきです!わたしは今日限りで、にっぽんぽん・あさっての党を辞めます!」
わたしの思いがけない大声に、代表もジム総長も目を丸くした。
「……チ~サ、お前、そんな大きな声出せたんか」と代表。
「見た!アタシ、チ~サがいつかキレるの見たわ!」とジム総長。
わたしはまきまきの手を取り、屯所から走り出した。
「行くよ、まきまきさん!もっとまともな政治結社を探すの!」
「逆から読んでもまさきまきー!」
背後から「恋すれば何でもない距離やけどー!」という代表の叫びと、大量のペットボトルが飛んでくる音が聞こえたが、わたしの足取りはかつてないほど軽かった。臆病だったわたしは、狂気の渦の中で確かな成長を遂げ、明治の新しい風の中へと駆け出していったのである。
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