わたし、チ~サは、政治結社「にっぽんぽん・あさっての党」の薄暗い屯所の隅っこで、今日もガタガタと震えていた。
「あ、あの……党の瓦版から、まきまきさんの名前が綺麗さっぱり墨で黒塗りされてるんですけど……」
わたしがおずおずと尋ねると、ジム総長が扇子をパチンと鳴らして鼻で笑った。
「今日はその話ですか? 見た!アタシそれ見た!(実際は見てない) こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね」
隣で算盤を弾いていた代表が、小判を撫で回しながら関西弁で吐き捨てた。
「ええゆうてるんちゃうで! ワシの金儲けの邪魔する奴はSFやで!」
言うが早いか、代表は飲みかけの南蛮伝来・ぺっとぼとるをわたしめがけて投げつけてきた。ドゴッ!
ひぃっ、と身をすくめるわたしの前に、カレーの本質🍛さんが猛烈な勢いでスライディングしてきた。
「代表の仰る通りです! ボクは理解しています! 代表がぺっとぼとるを投下なされるのは、地球の重力という物理法則への深い愛と憂慮からくる尊い行動なのです! 命がけでエクストリーム擁護します!」
そんな混沌とした屯所の障子を蹴破り、一人の女が乱入してきた。情緒不安定な笑い声を上げながら、千切れた公認証書を振り回している。
「まきまき! 今日もまきまき! 逆から読んでもまさきまき!」
彼女こそ、元党職員であり、先の選挙で公認候補だったものの、夫の飛ばした「X(えっくす)飛脚状」のせいで突如クビにされた、まきまきさんだ。
「ジム総長の嘘つき! 表では『大坂や兵庫の丁稚(ボランティア)は素晴らしい』とか言っておいて、裏では実名でボロクソに腐してたの、まきまき全部知ってるんだから! 若い町娘が代表にすり寄ると、般若みたいな顔で嫉妬して監視体制を敷いてるのもね!」
まきまきさんが涙目になりながら叫ぶと、ジム総長はすました顔で言い放つ。
「結果として、まきまきの行動で利しているのは清国よ。アタシは何も言ってないわ」
そこへ、梁の上からま猿🐒が飛び降りてきた。
「ウキー! まきまきは算盤一級持ってないウキ! 東レの職人でもないウキ! 勤務実態なんてなかったウキ! デコバカ!」
有本派インフルエンサーとしてデマの達人であるま猿は、あることないこと(全弾ないこと)を叫ぶと、瞬時に窓から去っていった。
さらに奥の部屋からピライさんが顔を出し、「うるさい! 静かにしろ!」とだけ怒鳴って、すぐに立ち去る。
波乱のテンポは止まらない。
まきまきさんは懐から「録音機(えじそんのやつ)」を取り出した。
「暴行や妨害をしてきて『ここで撮影するなというのは党のルールだ』って嘘ついた連中の言質、トップも含めて全部取ってあるんだから! 責任転嫁は許さない!
それに、飯山あかり先生を奉行所にスラップ訴訟するとか言って、絶対勝てるわけないのに! 逆に『我が党はLGBTについて選挙で何もしてない』って世間にバレて、やぶ蛇になるだけだって、まきまき止めたよね!?」
代表は耳をほじりながら事なかれ主義全開で答える。
「恋すれば何でもない距離やけど」
ドゴッ。再びぺっとぼとるが宙を舞う。
代表は丸投げの無責任だ。党員たちが青い法被を着て「右の社民党」みたいに近寄りがたいシュプレヒコールを上げていても、当たり屋のように自ら転んで診断書をもらってくる輩がいても、すべて放置して見て見ぬふり。
その時、福井弁を操るパイプユニッシュさんが自信満々に腕を組んで現れた。
「拙者の出番か! 異国の虎ンプ大統領とのパイプがあるでな! 党勢拡大は間違いないんやざ! 政策で勝負じゃの!」
(……絶対そのパイプ、ヘドロで詰まってるよ……)
わたしはいつもなら、この狂った内ゲバとデマの嵐の中で泣き寝入りするだけの、臆病でおとなしいチ~サだった。
でも、必死に真実を訴えるまきまきさんを嘘つき呼ばわりし、寄ってたかって歴史から抹消しようとするこのカルト的な隠蔽体質に、ついにわたしの中で何かが弾けた。
「……もう、やめてください!」
わたしは立ち上がった。もう震えは止まっていた。
「ジム総長は息をするように嘘をつくし! カレーさんは意味不明だし! まきまきさんが言ってることの方が、証拠もあって正しいじゃないですか!」
一同がポカンとわたしを見る。
「ええゆうてるんちゃうで……SFやで……」
代表が三本目のぺっとぼとるを手に取った瞬間、わたしは床に落ちていた一本を拾い上げ、渾身の力で代表の顔面めがけて投げ返した。
スパーンッ!
見事な放物線を描いたぺっとぼとるが、代表の額にクリーンヒットした。
静まり返る屯所に、まきまきさんの笑い声だけが高らかに響き渡る。
「今日もまきまき! 逆から読んでもまさきまき!」
臆病でおとなしかったわたしは、もういない。
激動の明治、わたしの本当の夜明けは、この狂った党を飛び出した今日、この瞬間から始まるのだ。
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