事務所の騒動、拡大版
第一章 阿鼻叫喚の保守党事務所
保守党事務所は、阿鼻叫喚の様相を呈していた。電話のベルがけたたましく鳴り響き、怒号と泣き声が入り混じる。
「みなさんこんにちは飯山あかりでーす、あかりちゃんねるでーす!お元気ですか~!」
飯山あかりは、いつものように明るい声で動画配信をしていた。かつては保守党の広報を担っていた彼女だが、今は党の体制に異を唱え、自ら立ち上げた「あかりちゃんねる」から、独自の視点で政治を語っていた。背景には、彼女が離党後に設けた簡素なスタジオ。かつての同志たちとの距離を、物理的にも感じさせる空間だった。
第二章 炎上の発端
騒動の震源地は、月刊Hanadaに掲載された飯山あかりの痛烈な保守党批判記事。発売と同時に、Hanada編集部には抗議の嵐が吹き荒れた。
「ふざけるな! 一体どういうことだ!」
代表は、電話を握りしめ、受話器が壊れんばかりの勢いで怒鳴り散らしていた。額には脂汗が滲み、普段は冗談めかした関西弁も、今はただただ怒りを露わにする凶器と化していた。
「ワシのところにまで、脅迫まがいの電話が殺到しとるんや! こんなもん、言論の自由の名を借りたテロやないか! 絶対に許さんぞ!」
第三章 事務所内の混乱
事務総長は、そんな代表の剣幕をどこ吹く風と、相変わらずのんびり構えていた。
「あらあら、代表、お耳が遠くなったのかしら? こうなること何となく予測してたわ。特には驚かなかったわね。むしろ、アタシ見た!アタシそれ見た!(実際は見てない) あの記事、なかなか辛辣で面白かったじゃないですか。今日はその話ですか?」
「何が面白いんや! 笑い事やないやろ! 炎上しとるんや、大炎上! SFやで。SF!」
代表は、頭を抱え、椅子に深くもたれかかった。
第四章 頼りにならない救世主たち
そこに、パイプユニッシュが自信満々の笑みを浮かべて登場した。
「ご安心ください、代表。党勢拡大は間違いない。拙者が、かのトランプ政権との強固なパイプを駆使し、この難局を乗り越えてみせます。政策で勝負じゃ!政策で!」
しかし、彼の言葉は虚しく響く。なぜなら、その「パイプ」は、長年の埃と油で完全に詰まっており、機能不全に陥っていたからだ。
突如、ピライが雷のような大声で叫んだ。
「うるさい! 静かにしろ!」
叫び終えると、彼は嵐のように事務所を後にした。彼の奇行は日常茶飯事であり、誰もが慣れきっているため、特に気にする者はいなかった。
第五章 ちさの戸惑い
その騒ぎを聞きつけたのか、ちさが不安げな表情で顔を覗かせた。
「あの……、何かあったんですか? 皆さん、落ち着いてください」
彼女は極度の人見知りで、争い事を極端に恐れる。その臆病な性格が、保守党内のドロドロとした人間関係の中で、彼女を一層萎縮させていた。
「ちさちゃん、大丈夫や。ワシが、何とか……、何とかするさかい……」
代表は、弱々しい声で答えた。しかし、彼の言葉には力がなく、誰もが事態の収拾は不可能だと悟っていた。
第六章 冷静な狂気
その時、ぴろしゃわが爽やかな笑顔で現れた。
「皆さん、こんな時こそ、冷静な対応が必要です。感情的にならず、論理的に解決策を探りましょう。僕に何かできることがあれば、遠慮なくお申し付けください」
彼の爽やかすぎる笑顔は、どこか不気味だった。なぜなら、彼は以前から北朝鮮との繋がりが噂されており、何か不都合なことが起こると、証拠隠滅のためなら手段を選ばないという評判だったからだ。
第七章 飯山あかりの決意
一方、Hanada編集部では、花田編集長が冷静沈着に状況を分析していた。
「抗議の電話は想定内だ。むしろ、これだけの反響があるということは、飯山あかり氏の記事が、社会の関心を集めている証拠。我々は、言論の自由を守り、真実を追求するだけだ。4月号は、予定通り2月26日に発売する」
保守党事務所の混乱をよそに、飯山あかりは、自身のスタジオで動画配信を続けていた。
「今回の騒動で、保守党の隠された問題点が、白日の下に晒されたと思います。私は、これからも真実を追求し、権力に屈することなく、発信し続けます」
彼女の言葉は、静かだが、力強い。その瞳には、確固たる決意が宿っていた。
騒動は、まだ序章に過ぎなかった。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、事態はさらなる混迷を深めていく。
終章 かき消された声
事務所の片隅で、ちさは小さく呟いた。
「私に、何かできることは……」
彼女の言葉は、騒音にかき消され、誰の耳にも届かなかった。
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