離党の微熱 〜揺れる信念と小さな反抗〜
第一章 太陽のような人
「みなさんこんにちは飯山あかりでーす、あかりちゃんねるでーす!お元気ですか~!」
日本保守党の殺風景な事務所に響き渡る、飯山あかりさんの弾けるような声。その明るさは、まるで太陽のように周囲を照らし出す。しかし、わたしは知っていた。その笑顔の裏に、深い憂いを秘めていることを。
わたし、ちさは、この党の端っこの事務員だ。取り柄といえば、真面目なくらい。臆病でおとなしい性格が災いして、気がつけばこんな場所にいる。山積みの書類に埋もれ、時折、突然怒り出すピライさんの怒鳴り声に肩をすくめる日々。そして、強烈な名古屋弁で周囲と意思疎通ができずに泣き出すたかすぃーさんを慰めることもある。そんな灰色の毎日だった。
しかし、その日、小さな違和感が芽生えた。
第二章 疑念の始まり
きっかけは、月刊Hanadaのリポストだった。
「ジャーナリストは、誰でもなれるけれど絶対守らねばならないことが二つあって、事実をねつ造しない……」
その一文が、飯山さんの心に小さな波紋を広げていた。
発端は、少し前に飯山さんが月刊Hanadaに寄稿した、日本保守党を批判するコラム。その内容を巡り、Hanadaと事務総長の間で水面下で激しいやり取りがあったらしい。
さらに、党の広報担当パイプユニッシュ氏が吹聴していた「トランプ政権とのパイプ」が全くの事実無根であることが、Hanadaの公式声明によって否定されたばかりだった。事務総長が誇らしげに語っていた「アメリカとの太い繋がり」は、一体何だったのだろうか?
事実ではない言説が堂々と流布される中、飯山さんの表情は変わっていった。失望、怒り、そして、深い悲しみ。
第三章 沈黙の夜
ある日の夕暮れ、帰宅しようとしていたわたしは、意を決して飯山さんに声をかけた。
「あの……飯山さん、少し、お時間よろしいでしょうか?」
彼女は優しく微笑んだ。
「あら、ちささん。どうしたの?」
「その、Hanadaさんの件、拝見しました。飯山さんは、何か、お辛いことはないでしょうか?」
飯山さんは、少しの間沈黙し、静かに語り始めた。
「ワタクシは、この党に、日本の未来を託せると思っていたの。真剣に、そう信じていたわ。だからこそ、信念を曲げずに批判的な意見も言ってきた。でも……」
窓の外を見つめながら、彼女は続けた。
「代表は目先の利益にばかり目を奪われ、事務総長は平気で嘘をつく。パイプユニッシュさんは実体のないパイプを振り回し、悦に入っている。カレーの本質🍛さんは、ただただ代表を盲信し、現実を見ていない。こんな人たちに、本当に、この国を任せて良いのかしら?」
わたしは、何も言えなかった。ただ、飯山さんの葛藤が痛いほど伝わってきた。
第四章 静かなる決別
その夜、飯山さんは自身のブログに文章を投稿した。それは、日本保守党に対する、静かで、しかし決意に満ちた訣別の宣言だった。
翌日、彼女は何事もなかったかのように事務所に現れた。しかし、その表情はどこか吹っ切れたように晴れやかだった。
数日後、飯山さんは、誰にも告げることなく、事務所を去った。まるで、最初からそこにいなかったかのように、静かに、そして、あっけなく。
彼女のいなくなった事務所は、魂が抜け落ちた抜け殻のようだった。太陽の光が失われたように、どんよりと淀み、重苦しい空気が漂っていた。
第五章 小さな反抗
わたしは、自分の席に戻り、山積みの書類の整理を始めた。しかし、どうしても飯山さんのことが頭から離れない。彼女の言葉、表情、そして、勇気。
わたしは、そっとスマホを取り出し、飯山さんのブログを開いた。
そこに書かれていたのは、彼女の正直な思い、偽りのない言葉、そして、未来へのささやかな希望だった。
深呼吸をし、震える指で、その記事を自分のSNSでシェアした。
それは、わたしにとって、生まれて初めての、小さな、そして、ささやかな反抗だった。
第六章 変化の兆し
その日を境に、事務所の空気が、少しずつ変化を始めた。
カレーの本質🍛さんは相変わらず代表を擁護していたが、その声には以前のような熱意は感じられなかった。ぴろしゃわさんは、北朝鮮との繋がりを疑われることを極度に恐れ、ますます挙動不審になった。
そして、わたしは、少しずつ、自分の意見を言えるようになっていった。
第七章 誓い
飯山さんの離党は、わたしにとって、人生を大きく変えるターニングポイントだった。
わたしは、まだ、自分が何をすべきかはっきりとわかっていない。この先、何が起こるのかも想像もできない。けれど、少なくとも、何もせずにただ流されるように生きることはできない。
わたしは、心に誓った。
いつか、飯山さんのように、強く、優しく、そして、正直な人間になりたい。
その日の夕焼けは、いつもより、ほんの少しだけ明るく、美しく見えた。まるで、わたしの決意を祝福してくれているかのように。
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